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免疫のはなし

免疫療法の効果とは?そのメリット・デメリットを徹底解説

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免疫療法の効果とは
この記事ではがん(癌)の治療やアレルギーの対策に用いられる免疫療法の効果やメリット・デメリットについてご紹介します。

なお、免疫療法とは、薬などの薬効により病原菌などを直接退治する治療法ではなく、身体の免疫力を上げて免疫反応を高めることでがんの原因を取り除いたり、身体の免疫力を下げて免疫反応を抑制することでアレルギーの症状を緩和したりすることを目指す治療法です。

そのため、免疫療法による治療が成功すれば、自己の免疫力により病気の原因が取り除かれるので、再発しづらく、長期間の治療効果が期待できます。

免役療法ってどんな効果があるの?

医者が診察している

免疫療法には大きく分けて次の2つの治療方法があります。

(1)免疫力を高めて体内に入ってくる悪質な病原菌を退治する方法
(2)免疫力を抑えて体内に入ってくる物質に過剰に反応するのを抑制する方法

前者(1)の免疫療法は、悪性黒色腫、肺がん、腎がん、頭頚部がん、胃がんなどのがんに効果があり、後者(2)の免疫療法は、花粉症やハウスダストのアレルギーに効果があると考えられています。

このあと、この2つの治療方法について詳しくご説明します。

なお、このページは概要についての説明となっています。

がん免疫療法の詳細については「がん免疫療法とは?その仕組みから効果・費用まで徹底解説」で解説しています。

減感作療法の詳細については「減感作療法(アレルゲン免疫療法)は花粉症・ハウスダストに効果あり?メリット・デメリットを解説」で解説しています。

【がん治療】免疫機能を高める治療法とは?

注射を調合している

免疫力を高めるがん免疫療法は、がんの治療法として「手術療法」、「放射線療法」、「化学療法」に続く第4の治療法として期待される最新の治療法です。

がんに対する免疫療法は、初期のがんや、転移して複数の臓器に広がったがんに効果があると期待されています。

また、大きく成長したがんには、これまでの「手術療法」、「放射線療法」、「化学治療法」が併用されることが多く、この場合、免疫療法は、他の治療法を行ったあとに残ったがん細胞を完全に取り除く目的で用いられます。

免疫療法はこれまでの治療法と併用できる

免疫力を高めるがん免疫療法には、

(1)免疫機能を活性化する
(2)がん細胞による免疫抑制を解除する
(3)最新の免疫療法「光免疫療法」

の3つの治療法があります。

これらの治療法は、身体全体に効果があるため、再発したがんや転移したがんに有効であると考えられています。

このあと、詳しくご紹介します。

免疫機能を活性化する

免疫機能を活性化するがん免疫療法は、免疫細胞ががん細胞に負けないように免疫機能全体を活性化することで、免疫機能を高める治療方法です。

この免疫療法には、次の6つの治療法があります。

(1)BRM療法(免疫賦活剤療法)
(2)サイトカイン療法
(3)活性化リンパ球療法
(4)NK細胞療法
(5)樹状細胞ワクチン療法
(6)ペプチドワクチン療法
(7)抗体療法(抗体医薬品、抗体製剤)

BRM療法(免疫賦活剤療法)

BRM療法は、最も歴史が古いがん免疫療法です。
自然から抽出した物質を投与して身体全体の免疫力を高める方法です。手術などの他のがん治療法の補助的な役割を担います。

BRM療法についてさらに詳しく読む

サイトカイン療法

サイトカイン療法は、体内で生成されて免疫細胞を刺激するサイトカインという物質を外部から投与することで免疫細胞を活性化させがん細胞を攻撃する治療法です。

サイトカイン療法についてさらに詳しく読む

活性化リンパ球療法

活性化リンパ球療法は、患者の体内から免疫細胞であるリンパ球を取り出し、体外で活性化し、さらに、約1000倍に増殖させて、それを体内に戻す治療法です。

活性化リンパ球療法についてさらに詳しく読む

NK細胞療法

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は免疫細胞の一つで異常な細胞を攻撃する細胞です。
NK細胞療法は、これを体内から取り出し、培養して活性化し、そして、増殖させた後体内に戻す治療法です。

NK細胞療法についてさらに詳しく読む

樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞とは「抗原提示細胞」と呼ばれ、取り込んだ抗原(病原体の目印)を、病原体を攻撃するリンパ球に伝える細胞です。

樹状細胞ワクチン療法は、この樹状細胞を体内から取り出し、取り出した細胞にがんの抗原(攻撃対象の目印)を取り込ませて体内に戻すことで、病原体をリンパ球にがんを攻撃するように指示する治療法です。

樹状細胞ワクチン療法についてさらに詳しく読む

ペプチドワクチン療法

ペプチドワクチン療法は、がんの抗原(攻撃対象の目印)を直接体内に投与する治療法です。

体内に投与されたがんの抗原を抗原提示細胞である樹状細胞が取り込み、リンパ球に攻撃を指示することで、免疫細胞によるがん細胞への攻撃を期待する治療法です。

ペプチドワクチン療法についてさらに詳しく読む

抗体療法(抗体医薬品、抗体製剤)

がんの増殖を防いだり、免疫細胞を呼び寄せたりする働きのある「抗体」という物質を体内に投与する治療法です。抗体には決まった抗原と結合する性質があり、がん抗原のもとに集まった抗体が、がんの進行を食い止めます。

抗体療法(抗体医薬品、抗体製剤)についてさらに詳しく読む

がん細胞による免疫抑制を解除する

免疫細胞は、がん細胞が体内に発生するとがん細胞を攻撃するのですが、がん細胞も攻撃されないように免疫細胞の働きを抑制(免疫抑制)します。

がん細胞が免疫細胞を妨害している

そこで、このがん細胞による免疫抑制を解除して相対的に免疫機能を高める治療方法が、がん細胞による免疫抑制を解除するがん免疫療法です。
このがん免疫療法では、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬を投与して、がん細胞による免疫抑制を解除、または、免疫抑制を防ぐことで、免疫細胞によるがん細胞への攻撃を維持します。

免疫細胞ががん細胞を攻撃している

この治療方法は、京都大学の本庶佑教授が発明した免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボが、今年(2018年)、ノーベル賞を獲得したことからも分かるように、世界が注目する新たながんの治療法です。

免疫チェックポイント阻害剤についてさらに詳しく読む

最新の免疫療法「光免疫療法」

赤外線と反応する物質をがん細胞につけ、それに外部から身体に無害な赤外線を照射することにより化学反応を起こし、がん細胞を破壊する治療法です。まだ研究中の治療法ですが効果は大きく、身体への負担は小さい治療法だと考えられており、実用化されればこれまでの「手術療法」、「放射線療法」、「化学治療法」を超える可能性もあると言われています。

光免疫療法についてさらに詳しく読む

こちらの記事ではがん免疫療法についてさらに詳しく解説しています。

【アレルギー対策】免疫機能を抑制させる治療法とは?

注射している写真

免疫機能を抑制させる治療法は、アレルギー対策に用いられ、減感作療法(アレルゲン免疫療法)といいます。

アレルギーとは、外部から入ってきたもの(抗原)に身体が過剰に抵抗(免疫)反応を示してしまう状態のことです。

そこで、減感作療法(アレルゲン免疫療法)では、アレルギーの元となるもの(=アレルゲン)を免疫反応が起こらないくらい少しずつ投与し、その量を徐々に増やしていくことで、最終的にアレルゲンに対する抵抗(免疫反応)が抑制されるようにします。
減感作療法のアレルゲン投与量の変化
現在ではスギ花粉とハウスダスト(ダニ)に効くものが開発されていて、投与の方法は、

(1)皮下免疫療法
(2)舌下免疫療法

の2種類あります。
また、
(3)経口免疫療法
と呼ばれる治療方法もありますので、このあと、併せてご紹介します。

皮下免疫療法

皮下免疫療法は、皮下注射によってアレルゲンを投与する方法です。定期的に通院する必要があります。アレルギー症状を根治するためには最低3年継続する必要がありますが、治療を継続していると症状は徐々に軽くなっていきます。

皮下免疫療法についてさらに詳しく読む

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、舌の裏でアレルゲンの錠剤を1~2分溶かしたあと飲み込む方法です。一度病院に行けば後は自宅で錠剤を服用するだけなので簡単に治療できますが皮下免疫療法よりは効果が薄いといわれています。

舌下免疫療法についてさらに詳しく読む

経口免疫療法

経口免疫療法は食物アレルギーに対する減感作療法で、アレルゲンを毎日少しずつ食べることでアレルギー症状を抑えていくというものです。

雑誌やインターネットで紹介されたことにより有名になりましたが、自宅で実際に行った結果、重篤なアナフィラキシー反応が出たという例が多発しており、かなり危険な治療法と言えます。日本小児アレルギー学会も注意喚起をしており、自宅で行うのはやめたほうが良いでしょう。

経口免疫療法を行っている(保険適用外)病院もありますが、国内の風潮としてはやはり安全性を示す根拠が不十分であるとの見方が強く、治療は推奨されていません。

経口免疫療法についてさらに詳しく読む

減感作療法(アレルゲン免疫療法)についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

免役療法のメリット・デメリットとは?

メリットとデメリット

ここでは、免疫療法のメリット・デメリットについてご説明します。

デメリットは?

効果が出るまで時間がかかる
免疫療法は直接病気の原因となるものを排除する治療方法ではないのですぐに効果が出ません。
完治しない可能性もある
がん治療においてもアレルギー対策においても、効き目には個人差があり、完治するとは言い切れません。

メリットは?

根本的な解決になる
がん免疫療法の場合には、身体の免疫力を上げることから再発を予防する効果が期待されています。またこれまで対症療法しかなかったアレルギーでも有効な治療法として期待されています。
他の治療法と並行して行うことができる
がん免疫療法はこれまでの「手術療法」、「放射線療法」、「化学療法」と同時にすることができます。またアレルゲン免疫療法も、治療を行いながらも他の対症薬を服用することもできます。
副作用が少ない
とくにがんの治療ではこれまで抗がん剤の副作用が大きな問題となっていましたが、がん免疫療法では副作用はほとんどありません。アレルゲン療法でも、正しい医療機関で行えば発作等が起きる心配も少ないといわれています。

どんな人におすすめ?

これらをふまえると、がん免疫療法がおすすめできるのは、

  • がんが初期段階の人
  • がんが転移してしまった人
  • 他の治療法で根治できなかった人

アレルゲン免疫療法をおすすめできるのは、

  • 慢性的な花粉症やアレルギーを持っている人
  • 症状がひどく、薬があまり効かない人

と言えるでしょう。

まとめ

今回は最新の治療法である免疫療法についてまとめました。

がん免疫療法、アレルゲン免疫療法についてさらに詳しくまとめた記事がありますのでそちらもご覧ください。

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