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免疫細胞の4つの働きを紹介します

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細菌観察
私たちの体を、日々ウイルスや菌などの病原体から守ってくれている免疫系。このページでは、免疫系の働きを担う免疫細胞の主要な4つの働きである

  1. 病原体を見分ける
  2. ほかの免疫細胞に知らせる
  3. 病原体を攻撃する
  4. 病原体を記憶する

をそれぞれ解説していきます。

病原体を見分ける

虫眼鏡
免疫細胞の主要な働きの1つ目は、「病原体を見分ける」ことです。
免疫細胞は体内入ってきた細胞や微生物が、病原体なのかそうでないのか?
もしそれらが病原体だった場合、どのような種類の病原体なのか?を見分けることができます。

病原体の種類を見分ける

病原体には、多種多様な種類があります。好中球マクロファージは、どんな病原体に対しても攻撃します
一方で、より効率的に病原体を攻撃するために、病原体の種類を見分けて攻撃する免疫細胞たちがいます。それは、T細胞(Tリンパ球)B細胞(Bリンパ球)と呼ばれる免疫細胞たちです。
T細胞やB細胞はどのようにして、たくさん種類のある病原体を見分けるのでしょうか?

T細胞やB細胞は病原体の種類をどのように見分けるのか?

T細胞やB細胞は「抗原レセプター」という病原体の種類を見分けるレーダーのようなものを持っています。
抗原レセプターは1つのT細胞やB細胞につき、1種類の抗原にしか反応できません。(抗原とは抗原レセプターに反応する物質の総称です)
この性質を「抗原特異性」といいます。
人間の場合、この抗原レセプターを100億種類以上持っていて、どんな病原体が侵入してきても、その種類を見分けることができます。
では、免疫細胞はどのように抗原レセプターを作るのでしょうか?

抗原レセプターの作り方

体内のあらゆる組織は、遺伝子の情報をもとに作られます。通常は、1つの遺伝子から1つの組織が作られますが、抗原レセプターの作られ方は少し違います
抗原レセプターの遺伝子は数十~百種類の中から2個か3個を取り出し、つなぎ合わせて1つの遺伝子とします。
つなぎ合わせ方も、ピッタリつながっているものもあれば、少しずれたものもあります。
この遺伝子をもとに抗原レセプターが作られるので、100億種類の抗原レセプターが作ることができるのです。

病原体かを見分ける(免疫寛容)

免疫細胞は、体内の正常な細胞や、腸の中にいる有益な微生物(善玉菌など)には攻撃をしません。
また、体内に侵入してくる食物にも攻撃をしません。
このような免疫細胞の性質を「免疫寛容(自己寛容)」といいます。
免疫寛容は病原体侵入からの第一防衛ラインである、粘膜免疫で働く免疫細胞に多く見られます。
では、免疫寛容を持つ免疫細胞たちは、どのようにしてこの性質を手に入れるのでしょうか。上でも登場した、T細胞やB細胞を例にご説明します。

T細胞やB細胞はどうやって免疫寛容になるのか?

T細胞、B細胞の免疫寛容の発現の仕組みはとても単純なものです。それは
「病原体以外の細胞を攻撃するT細胞,B細胞を生まれてすぐに殺してしまう」
というものです。
上に書いたように、T細胞やB細胞には抗原特異性があり、生まれつき反応できる抗原が決まっています。
T細胞やB細胞は、体内の循環を始める前に、「胸腺や骨髄で病原体以外の抗原に反応する抗原レセプターを持たないか」というテストを受けます。このテストに合格しなければ、殺されてしまします。これを「正の選択」といい、合格率数%の超難関試験です。
このテストに合格したものだけが、晴れてT細胞やB細胞として体内を回ることができるのです。

他の免疫細胞に知らせる

知らせる
体内に病原体が侵入すると、免疫細胞が集まってきて、病原体に攻撃を開始します。
同時に、免疫細胞は仲間を集めたり、病原体への攻撃を有利に進められるように、病原体の情報を仲間の免疫細胞に伝えたりします
では、免疫細胞たちは、体内に散らばる仲間の免疫細胞をどうやって呼び寄せるのでしょうか?
また、病原体の情報を仲間にどのように伝えるのでしょうか?

仲間の免疫細胞を集める

病原体が侵入すると、侵入箇所にいたマクロファージマスト細胞(肥満細胞)といった免疫細胞が「補体」という伝達物質をリンパ節じゅうにばらまきます。
免疫細胞の一種である好酸球は、伝達物質を受け取る器官を持っていて、伝えられた情報を頼りに病原体の侵入箇所にいち早く向かういます。
ちなみに補体は、免疫細胞がほかの免疫細胞に命令を送ったり、免疫細胞間の情報交換に使われる手紙のようなもので、これを使うことによって、互いに協力し合うことができるのです。

どんな病原体かを知らせる(抗原提示)

免疫細胞の中には、T細胞やB細胞のように特定の病原体への攻撃を得意とする、つまり抗原特異性を持つ免疫細胞があります。
ですが、無数に存在する病原体に備えるために、同じ抗原特異性がある免疫細胞の数は、あまり多くありません。
病原体に侵入された場合には、その病原体に抗原特異性がある免疫細胞を増やして戦います。
この時、どのような病原体が侵入してきたかという情報を伝えることを「抗原提示」といいます。
抗原提示を行うのは、樹状細胞B細胞マクロファージといった免疫細胞です。
抗原提示を受けた免疫細胞の司令官であるヘルパーT細胞は、T細胞を増やす指示や、B細胞に「抗体」という武器を作らせて病原体を攻撃させます。
これにより、特定の病原体だけを攻撃し、効率の良い免疫反応をすることが出来ます。

病原体を攻撃する

攻撃
免疫細胞が病原体を攻撃するときの方法として、

  1. 病原体を食べる
  2. 感染した細胞を殺す
  3. 武器を作る(抗体産生)
  4. 抗体をくっつける

という4つの攻撃方法があります。

病原体を食べる(貪食)

食細胞といわれる好酸球やマクロファージ,樹状細胞は、貪食といって、病原体のうち特に細菌を、丸ごと食べて分解殺菌します。
貪食のあと、食細胞は貪食した病原体の情報を提示(抗原提示)します。
貪食は、自然免疫で主にみられる細菌への攻撃方法で、獲得免疫を得るための第一段階となるものです。

感染した細胞を殺す

病原体のうちウイルスは、体内の細胞に寄生し、その数を増やします。
ウイルスに感染してしまった細胞は放っておくと、どんどんウイルスが増えてしまいす。
このためキラーT細胞という免疫細胞の一種は、ウイルスに感染した細胞だけを選んで殺し、ウイルスが増殖することを防ぎます。

武器を作る(抗体産生)

ヘルパーT細胞から抗原の情報を受け取ったB細胞は、「抗体」という武器を作ります。
抗体には特異性があり、ある特定の病原体にしか効果がありませんが、強力な武器となります。

抗体を病原体にくっつける

抗体は病原体にくっつくことで、効果を発揮します。
抗体が病原細菌にくっつくと、その働きを止めると同時に、食細胞が細菌を食べやすくする働き(オプソニン)を始めます。
ウイルスにくっつくと、ウイルスが細胞に入る邪魔をして、ウイルスが増えないようにする働きをします。
これら2つの作用を持つ抗体で、B細胞は病原体を攻撃します。

病原体を記憶する

記憶する
病原体を制圧した、T細胞やB細胞の一部は、病原体の情報を覚えておき、そのまま体内に留まって、同じ種類の病原体の侵入に備えます。
T細胞やB細胞が病原体の情報を覚えておくことを「免疫記憶」といいます。

免疫記憶

病原体を攻撃したT細胞やB細胞の一部はそれぞれ、メモリーT細胞,メモリーB細胞という記憶細胞として、体内に残ります。
これらの記憶細胞は、再び同じ種類の病原体が侵入してくると、即座に攻撃を開始できます。
さらに、メモリーB細胞が作る抗体は、B細胞の作る抗体より、性能が良いものになっています。
このような記憶細胞の特徴は、予防接種に使われています。
「抗体」や「予防接種」について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。

まとめ

point
それぞれがユニークな能力を持つ免疫細胞。彼らの働きによって私たちは、病原体の脅威から日々守られています。
彼らに感謝して健康な毎日を過ごしましょう。

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