この記事では、大事な時期に病気にかかりたくないという方のために感染症全般の予防方法を解説していきます。
感染症は細菌やウイルスが体内に侵入することによってかかる病気です。主な感染経路は、
- 空気感染
- 飛沫感染
- 接触感染
- 経口感染
- 母子感染
の5つがあります。(感染経路についてはをこちらをご覧ください。)
感染症はこれらの感染経路を断つことで予防することができます。これから、
について解説していきます。
日常生活でできる感染症予防とは?
日常生活において感染症を予防するために大切なことは、
です。これらのことを意識するだけで感染症にかかるリスクを減らすことができます。
手洗い・うがいをしっかりする
日常生活でできる感染症予防の中で最も効果があるといわれているのが手洗い・うがいです。
特に接触感染、経口感染に効果があります。
まず手洗い・うがいをするタイミングですが
- 食事の前
- トイレの後
- 掃除の後
- 学校や職場に到着した時
- 外出から帰宅した時
にしましょう。
特にトイレの後や外出から帰ってきた後は、手を洗うまでなるべくドアや壁などに触れないほうがいいでしょう。
次に正しい手の洗い方を解説していきます。
- まず指輪、時計などをはずし、流水で手を流します。
- その後石鹸をつけ、しっかりと泡立てます。
- 手のひら、手の甲をしっかりこすります。
- 手を組むようにして指の間をこすり、親指は反対の手で包んでこすります。
- 指先と爪も反対の手のひらでこすりましょう。
- 手首を反対の手でこすります。
- 20秒ほどかけて流水で十分石鹸を洗い落とします。
- 乾燥した清潔なタオルで水気をしっかり拭き取ります。
- 最後に消毒液を両手でこすり、自然乾燥するのを待ちます。
手を洗う時のポイント!
・指先やつめ、手首は忘れがちですがしっかり洗いましょう。
・石鹸を付けるだけでなくしっかりこすることで細菌やウイルスを落とすことができます。
・外出先で手を洗う時は、取手は沢山の人が触れているのでなるべく自動の洗面台で手を洗いましょう。
・アルコール消毒は多くの感染症予防に有効ですが、ノロウイルスには効果がありません。
次に正しいうがい仕方について解説していきます。
うがいはうがい薬を使って行いましょう。
- うがい薬をコップに入れます。
- コップに水を加えてうがい薬を薄めます。
- 薄めたうがい薬を口に含み、”グチュグチュ”と口の中をゆすいで吐き出します。
- 薄めたうがい薬を口に含み、10~15秒”ガラガラ”うがいをして吐き出します。これを2~3回繰り返します。
うがいする時のポイント!
・うがい薬を使わないときは回数を増やしてうがいしましょう。
・うがいに使うコップはこまめに洗いましょう。紙コップなど、使い捨てのコップで行うことが望ましいです。
正しい手洗い方法で習慣づけを|キレイキレイ|ライオン
マスクを着用する
マスクも手軽にできる感染症予防法の1つですね。特に空気感染、飛沫感染に効果があります。
ただし、マスクでは細菌やウイルスの侵入を防げない場合もあります。
空気感染では、空気中に病原体が浮いているのでマスクの隙間から病原体が中に入ってきてしまいます。また、小さい細菌やウイルスはマスクの繊維の隙間を通り抜けてしまいます。
マスクを選ぶときは
・顔とマスクの間にできるだけ隙間がないもの
・繊維の密度が高いもの
を選びましょう。
一方で、すでに感染症にかかってしまった方がマスクをつけることによって感染症の拡大を防ぐことができます。マスクを着用していると咳やくしゃみによって飛び出した病原体がマスクにつかまり、空気中に拡散されません。
感染症にかかってしまっても人と会う時はエチケットとしてマスクを着用するようにしましょう。
できるだけ人ごみを避ける
たくさんの人が集まる場所にはたくさんの病原体も集まります。感染症にかかっていても気づいていない人や気づいているのにマスクなどをしていない人が多くいるので人が多いとこほど感染症にかかるリスクが高くなります。
また、手すりや電車のつり革など不特定多数の人が触れる場所にはたくさんの病原体がついています。このような場所にはできるだけ触らないようにする、触ってしまった場合にはよく手を洗うことを心がけましょう。
部屋の湿度を保つ
部屋の湿度をあげることで空気感染を防ぐことができます。
風邪やインフルエンザなど細菌やウイルスの中には湿度に弱いものが多く、人間の喉は乾燥すると粘膜の免疫力が落ちてしまいます。インフルエンザが流行る冬は特に空気が乾燥しやすいので加湿器などを使って湿度を50%~60%に保ちましょう。
栄養バランスの取れた食事をする
体の栄養状態によって体の免疫力は上がることもあれば下がることもあります。栄養バランスの取れた食事をすることは免疫力を上げ、感染症になるのを防いでくれます。
1日にとるべき栄養量の目安は国で決められています。農林水産省の「食事のバランスガイド)」を参照してみてください。
現在、食生活が乱れているという方は、
・毎日同じ時間に3食食べる
・主食、主菜、副菜を意識する
ということから意識してみましょう。これだけでも栄養バランスが改善するはずです。
適度な運動と十分な睡眠をとる
運動不足は免疫力の低下につながります。週2回2時間ほどの運動が理想的ですが、運動する時間がないという方は普段エレベーターを使っているところを階段で登ってみることも効果はあります。
寝不足も免疫力を低下させる大きな要因となります。夜勤などで昼夜逆転しているのも健康にはよくありません。1日6時間睡眠が理想です。
予防接種による予防方法は?
ここまでは日常生活の中でできる感染症予防方法について解説してきましたが予防接種(ワクチン)も感染症の予防に有効です。
予防接種による感染症予防は、感染症になる前にあらかじめ無害化した病原菌を注射することで体内で抗体を作らせ、病原菌が体に入ってきてもすぐにやっつけられる状態にしておくことです。
抗体とは・・・体内に病原菌が入ってきたときにそれをやっつけるために作られる物質 |
一言で予防接種と言っても感染症ごとに予防接種の種類は様々です。次の表は予防接種を大きく分類したものです。
生ワクチン | 不活化ワクチン・トキソイド | |
定 期 接 種 |
麻疹 風疹 水痘 BCG(結核予防ワクチン) |
インフルエンザ 日本脳炎 肺炎球菌 ジフテリア 破傷風混合 B型肝炎 |
任 意 接 種 |
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) ロタウイルス 黄熱 帯状疱疹 |
破傷風トキソイド A型肝炎 狂犬病 髄膜炎菌 |
まず、予防接種の種類について説明します。
生ワクチンとは、注射する病原菌がまだ生きている予防接種のことを言います。病原菌がまだ生きているため、実際にその病気にかかったときの症状がわずかに出る可能性もありますがその分確実に抗体ができるといわれています。
一方、
不活化ワクチンとは、注射する病原菌が完全に死んでいる予防接種のことを言います。副作用は少ないですが、数回接種しないと効果が出ない場合もあります。
定期接種・任意接種とは、国が定めた予防接種の分類で、
定期接種は定められた対象年齢で打てば無料
任意接種は希望者には自己負担で接種することが認められている
という分類です。
ただし、定期接種は感染症ごとに予防接種をする年齢が定められているため、それ以外の年齢で受ける場合には自己負担となります。
【二次感染を防ぐ】家族間で感染症を予防するには?
ということがあると思います。
家族や自分が感染症になってしまった場合、家庭内でうつさないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか?
家族間で感染症がうつるのを防ぐためには、
ことが重要です。この2つについてこれから解説していきます。
なお、受験生のためのインフルエンザ予防についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。 高校受験や大学受験、国家試験など人生の分岐点となるものは万全の体調で臨みたいものです。しかし、そういった試験などは2月や ...
予防接種は受けるべき?受験生の風邪・インフルエンザ予防方法を解説
予防接種を受ける
やはり、家族が感染症にかかると細菌やウイルスに触れてしまうことがあります。そういった病原体に触れてしまっても病気にかからないためにワクチンを打っておきましょう。
ただ、ワクチンは接種してから効果が出るまで2週間~1か月ほどかかってしまいます。なので、家族が受験期、妊娠期など重要な時期を迎えるときには前もって家族全員で予防接種をしに行きましょう。
ワクチン(予防接種)の効果、種類、対応している感染症については「ワクチン(予防接種)による感染症予防とは?」で解説しているのでそちらをご覧ください。
感染経路を減らす
家庭内で感染を減らす方法はこれに尽きます。ここでは感染経路別に家庭内でできる感染症予防を紹介していきます。
それぞれの感染経路については以下の記事でより詳しく解説しています。 病原体は私たちが気づかないうちにいろいろな経路で私たちの体に入ってきます。この経路を「感染経路」と言います。感染経路には ...
感染症の感染経路にはどんなものがあるの?
空気感染の予防
空気感染を防ぐためには、感染している方が家の中でマスクをつけ、できるだけ空気中に病原体をばらまかないことが重要です。それでも完全に防ぐことはできないので、1日に何回かは窓を大きく開けて換気を行いましょう。
飛沫感染の予防
空気感染と同じく感染している方が家の中でマスクをつけることで予防できます。マスクをしていないと、咳やくしゃみ、会話などをしたときに口からでた病原体が、家族の粘膜に触れてしまったり、壁や床についたりして間接的に感染してしまいます。感染している方がマスクをしていると苦しい場合には食事をするタイミングをずらす、できるだけ部屋を隔離することで飛沫感染を防ぐことができます。
また、一緒にご飯を食べるときは
・少し距離を開ける
・直接正面に座らないようにする
ことでも飛沫感染を防ぐことができます。
接触感染の予防
接触感染は家庭内で特に起こりやすいといえます。ドアノブや階段の手すり、テレビのリモコン以外にも私たちは家の中でいろいろなものに触れています。感染している方はできるだけものに触らないようにする、家族の方はそういった場所を触った後は手洗い・消毒をすることで感染のリスクを下げることができます。
また感染症の方が吐いてしまったときには、おう吐物になるべく触らないようにし、掃除をしたあとは必ず薬用せっけんを用いて手洗い・消毒をしましょう。
特にノロウイルスにはアルコール消毒は効果がありません。汚れてしまった床や壁はウイルスが飛び散らないように静かにふき取り、次亜塩素酸ナトリウムを使い捨てのタオルなどに浸してふき、最後に水拭きしましょう。
ノロウイルスの予防法については下のページで詳しく解説しています。 毎年、冬になるとインフルエンザと合わせて流行するのが、ノロウイルスです。 筆者も中学三年生の受験シーズンに罹りましたが、 ...
ノロウイルスの予防法をご紹介します
経口感染の予防
感染した方としていない方が一緒に食卓を囲むこともあると思いますが、料理を大皿で出すのは感染の危険があります。感染した方が使った箸などには病原体がついていますのでその箸が触れたものを食べるのはやめましょう。
家族がインフルエンザに感染!どうする家庭内での感染防止
海外旅行時の感染症予防はどうすればいいの?
海外には日本にはない感染症がたくさんあります。そのため海外に行く際には、事前に目的地で流行している感染症やその予防・対策を考えていく必要があります。予防接種をしたほうがいい場合もあります。
・海外旅行前の準備
・旅行中の対策
・旅行中感染症になってしまったときの対処
・帰ってきてから感染症になってしまったときの対処
については、
で詳しく解説されていますので、ぜひそちらをごらんください。
感染症予防のまとめ
いかがだったでしょうか?感染症を予防するためには、
・ワクチンをかならず打つ
・感染経路を理解して予防する
ことが重要です。
手洗いうがいをしっかりして感染症にかからないようにしましょう。
個別の感染症の予防方法については以下の記事をご覧ください。
・ノロウイルスの予防方法
・インフルエンザの予防方法
・風邪の予防方法
・風疹の予防方法
・麻疹の予防方法