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感染症のはなし

ノロウイルスの予防法をご紹介します

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腹痛
毎年、冬になるとインフルエンザと合わせて流行するのが、ノロウイルスです。
筆者も中学三年生の受験シーズンに罹りましたが、嘔吐と発熱に苦しんだことを覚えています。
そこでこの記事では、

  1. 他人からの感染を予防する方法
  2. 身近な人からの感染を予防する方法

を感染経路ごとに、お話ししていきたいと思います。

ノロウイルスの知っておきたいこと

ノロウイルスの予防法をお話しする前に、まずノロウイルスについて知っておきたいことを書いておきます。

ノロウイルスとは

黒板
ノロウイルスとは急性胃腸炎を引き起こす小型球形ウイルスで、感染したときの症状として、潜伏期間1~2日の後に吐き気と嘔吐、下痢、腹痛さらに軽度の発熱を引き起こします。
これらの症状は1~2日程度で快方へと向かいますが、幼児や高齢者が感染し発症した場合、嘔吐物をのどに詰まらせ窒息したり、脱水症状を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

ノロウイルスの特徴

ノロウイルスの特徴として、

・感染力が非常に強い
・アルコール消毒が効かない
・熱に強い
・何度も感染する

の4つが挙げられます。
ノロウイルスは、感染力が非常に強く、わずか10~100個程度のウイルスが体内に入るだけで感染します。
ちなみに同じように食中毒を引き起こす、サルモネラ菌は発症に10万~10億個が必要なので、ノロウイルスの感染力がいかに強いかがよくわかります。
また感染を予防する際に厄介なのが、アルコールや熱に強いということです。
このため消毒には一定時間以上の熱処理次亜塩素酸を用いる必要があります。
ノロウイルスはインフルエンザのように多くの型があるため、一度かかったら一生ノロウイルスに感染しないということはありません。このため、各シーズンごとに感染に注意する必要があります。
以上のような特徴を踏まえたうえで、ノロウイルスの感染経路について考えてみましょう。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路として主なものは、

  1. 接触感染
  2. 経口感染
  3. 飛沫感染
  4. 空気感染

の4つです。

1.接触感染

ノロウイルスの感染力が強いことはすでにお話ししました。
ノロウイルスが付着した手で物を触ると、その物がウイルスで汚染されます。
汚染されていると知らないでその物に触れ、触れた手を使って物を食べたりすると、ウイルスが体内に侵入し、ノロウイルスに感染します。このような感染の仕方を接触感染と言います。
接触感染のよくある例としては、ほかにも感染者の吐しゃ物を処理したあと、十分に消毒を行わないまま、物を食べた場合などが考えられます。

2.経口感染

経口感染は、ウイルスに汚染された二枚貝を十分な加熱処理をせずに食べたり、ウイルス保持者が加工した食品を食べた場合、または、ノロウイルスに汚染された井戸水や水道水を飲んだ場合など、ノロウイルスによって汚染された食品などを接種したときに起こります。

3.飛沫感染

飛沫感染は、感染者のくしゃみにより飛散した唾液が直接口や鼻に入った場合や、近くで感染者が嘔吐した場合などに起こります。

4.空気感染

空気感染はノロウイルスに感染した人の吐しゃ物の処理が十分でなく、残った吐しゃ物が乾燥し空気中にウイルスが拡散した場合などに起こります。
以上4つの感染経路からのノロウイルス感染を防ぐには具体的にどのような予防法があるのでしょうか?

他人からの感染を予防する方法

ノロウイルス
ノロウイルスの感染力は非常に強力です。
ノロウイルスに感染している人が身近にいなくても、日常生活を送っているうちに、いつの間にか感染してしまうことがあります。
ここでは、他人からノロウイルスをうつされないための方法を、感染経路別にご紹介していきます。

接触感染を防ぐ

接触感染は基本的に汚染されたものを触った手で、口などの粘膜を触ることにより起こります。
したがって、接触感染を避けるのに有効な方法は、手洗いを徹底することと、マスクをつけることです。
調理前や食器を触る際、食事前、トイレ後や帰宅直後などには特に手洗いをしてください。
手洗いの正しい方法は次の通りです。

手洗いの方法
1.指輪等を外す
2.石鹸を十分泡立てる
3.ブラシなどを使用し、手指を洗浄する
4.温水で十分すすぐ(目安としては30秒以上が推奨される)
5.清潔なタオルやハンドペーパーでふく
厚生労働省ノロウイルスに関するQ&A

特にタオルは家族一人ひとりが別のものを使うようにしましょう。
また、人は無意識の内に手を口元にあてています。
このためマスクをすると、手についたウイルスが口から入ることを防げます。

経口感染を防ぐ

経口感染は、ウイルス汚染された食物や飲み物を摂取することで起こります。
経口感染の予防策として、汚染の恐れがあるものを食べないこと、非感染者が作った料理を食べること、十分な加熱処理をすること、調理器具を消毒することが挙げられます。

汚染の恐れがあるものを食べない

ノロウイルスに汚染されている可能性が高い食べ物を一つ挙げるとすると、カキなどの二枚貝です。
このため、シーズン中に十分加熱されていない可能性のある二枚貝を食べないという予防法もあります。
しかし、冬場は二枚貝を食べないというのは少し辛いものがあります。

非感染者が作った料理を食べる

ノロウイルスの経口感染の原因として多いのは、感染者が調理した食品を介して、感染が広がる場合です。
ノロウイルスは感染していても症状に現れない場合(不顕性感染者といいます)や、症状が軽い場合もあるため、感染者が知らないうちに感染を広げている可能性も大いにあります。
このため、確実に感染していない人(家族など)が作ったものを食べるほうが安全だといえます。
感染を避けるためには、外食など感染者の手を介したものを食べないほうが良いといえます。
ここで挙げた2つの方法は、特に受験前など、ここぞというタイミングならば現実的な方法かもしれません。
しかし、いつでもできる方法として確実なのは、次の加熱処理だと言えそうです。

加熱処理

現実的な予防法として、食材を加熱処理をすることが挙げられます。
ノロウイルスは熱に強いということはすでにお話ししました。
しかし十分な時間、加熱を加えればウイルスを失活(働けなくする)ことができます。

ノロウイルスの場合、食材の中心部を85℃~90℃で90秒以上の加熱が望まれます。
厚生労働省ノロウイルスに関するQ&Aより

ただし、ノロウイルスの増殖させる手法が確立されていないため、加熱処理について確実な数値は存在せず、あくまでの目安であることに注意してください。

調理器具や食器を消毒する

ノロウイルスに汚染されている可能性のある食品を調理した器具を、使用後に消毒することも重要です。
ノロウイルスは一般的な消毒に用いられるエタノールでは完全に失活しないため、調理器具や食器を熱湯消毒するか、次亜塩素酸ナトリウムを使用する必要があります。

熱湯消毒

消毒したい調理器具や食器が、加熱できるものであれば、熱湯消毒が最も手軽な消毒法です。
ノロウイルスの場合、85℃以上の熱湯で1分以上加熱することが有効です。
洗剤で十分に洗浄した後、大きめの鍋などに熱湯を用意し、1分以上加熱すれば終了です。
熱湯をかけるだけでは効果が薄いので、必ず加熱をしてください。

次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒

熱湯消毒ができない調理器具に対しては次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が効果的です。

次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒法
1.塩素濃度200ppm以上に希釈した次亜塩素酸ナトリウムを用意します。
2.洗剤などで十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸すようにペーパータオルで拭きます。
3.溶液を十分に洗い流し乾燥させます。

次亜塩素酸ナトリウム溶液は、皮膚への刺激作用があるので、ゴム手袋やビニール手袋を使用することをお勧めします。

次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方は「次亜塩素酸ナトリウムの作り方」の項で詳しくお話しします。

飛沫,空気感染を防ぐ

飛沫感染を予防するためにはマスクをしたり、空気感染を防ぐにはしっかりとした消毒を行う、部屋の喚起を十分に行うことが挙げられますが、これらは家族など身近な人が感染した時に必要になってくるかと思うので、次の項で書くことにします。

身近な人からの感染を予防する方法

消毒
ノロウイルスが家族など身近な人に感染すると、看病や、掃除のためにウイルスに触れる回数が増え、感染のリスクが高まります。
ここでは、身近にノロウイルスの感染者がでた場合、どのようにして自分を感染から守るかについて、お話ししたいと思います。

接触感染を防ぐ

家庭内や保育所など身近な場所であれば、ノロウイルス感染者が触れた場所(ドアノブ,カーテン,机,便座など)を消毒することが効果的です。

消毒方法
1.消毒したい箇所に汚物がついている場合にはそれを拭き取る。
2.布やスポンジを次亜塩素酸ナトリウム溶液200ppmに浸したもので拭く。
3.金属製品の場合は溶液により腐食する可能性があるので、念入りに水拭きする。

また、ノロウイルスは浴室でも感染します。感染者は浴槽を使わず、シャワーで済ませるほうが賢明です。
また感染者の使用後には、浴室の床をよく流してください。

経口感染を防ぐ

感染者が使用した食器類は、ほかの人が使う食器と別のスポンジを用いて洗ったのち、消毒する必要があります。
消毒前に洗浄するのは、食器に残った有機物を洗い流すためです。
消毒方法は加熱消毒か次亜塩素酸ナトリウムを使ったもので、手順は「調理器具や食器を消毒する」の項を参照してください。

飛沫感染を防ぐ

ノロウイルス感染者が排便や嘔吐した場合、その対処を誤ると危険なのが飛沫感染と空気感染です。
まずここでは、飛沫感染の予防法についてお話します。
高さ1mで感染者が嘔吐した場合、吐しゃ物の広がる範囲は周囲2mにも及びます。このため、吐しゃ物が見えなくても、口などの粘膜に到達し、飛沫感染する可能性があります。
予防としては、近くで嘔吐があった場合にはすぐに手洗い,うがいをすることが挙げられるでしょう。

空気感染を防ぐ

次に空気感染の予防についてです。
空気感染が起こる原因としては、主に吐しゃ物などの汚物の処理が十分でなく、残存した汚物が乾燥し、ウイルスが空気中に拡散することが考えられます。
このため、空気感染を防ぐには汚物の処理と消毒を確実に行う必要があります。
そこで「空気感染を防ぐ」の項では、

  1. 絨毯
  2. 衣服
  3. 布団やシーツ

に汚物が付着した場合の、正しい処理と消毒の方法をご紹介します。

1.床の処理方法

まず床に汚物が付着した場合を書きます。

床の消毒方法
1.使い捨てのエプロンなど、すぐに捨てることができ、服を汚さなくできるものを着る。
2.マスクとゴム手袋を着用する。眼鏡をかけていない人は、できればゴーグルをつけてください。跳ね返り防止のためです。
3.汚物が飛び散らないように注意しながらペーパータオル等で、静かに汚物をふき取る。このとき汚物が残ったままで消毒をしても、消毒液の効果が薄れてしまうので、確実に拭き取ってください。
汚物処理用の市販の凝固剤を用いるのもおすすめです。(「ノロウイルス 凝固剤」で 検索したら結構出てきます。)
4.ペーパータオルなどを用い、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き取る。
5.水拭きで消毒液を拭き取る。
6.処理中に空気中に漂ったノロウイルスを屋外に出すため、換気を行う。

※ここまでで用いたエプロンやペーパータオルなどはビニール袋に密封し、廃棄してください。できれば廃棄物が十分浸るくらい次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)をビニール袋内に入れると、ゴミ捨て場に持っていくまでノロウイルス感染を防ぐことができます。

2.絨毯の処理方法

次に絨毯に汚物が付着した場合です。

絨毯の消毒方法
1,2は床の場合と同様です。
3.ペーパータオルなどで汚物をできる限り拭き取る。
ここからの処理は汚染の範囲の大小によって異なります。
4-1.汚物の付着した範囲が小さければ、濡れたタオルで覆い、上からスチームアイロンで2分以上加熱します。
ただし、絨毯の材質によって時間は異なるので、変色しない程度にできるだけ長く当てることをおすすめします。
4-2.汚物が絨毯の全体に付着してしまった場合はスチームアイロンを用いた方法は現実的ではありません。
そこで、塩素濃度1000ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませ、ペーパータオルなどでふき取ったのち、十分に水拭きをします。
5換気を行う。

しかし、この方法では絨毯の脱色や変色の可能性があることには十分注意してください。

3.衣服の処理方法

ここでは、衣服に汚物が付着した場合の対処法についてお話しします。

衣服の消毒方法
1.手袋とエプロン、マスクを身に着ける。ただし、衣服の洗浄中にはウイルスを含んだしぶきが上がり、それを吸い込むと感染の可能性があるので、必ずマスクを付ける。
2.衣服についた汚物を洗い流す。この時ウイルスが飛び散らないように静かに洗う。
3.洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いする。
4.消毒の方法にはいくつかあるので、衣服の材質によって使い分けてください。
・熱水洗濯が可能な場合には、85℃で1分以上を目安にして行います。また、同じ条件での煮沸も効果的です。
・次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)を使った消毒も有効です。消毒液に浸けたあと十分すすぎます。その後高温乾燥機を使用すると、殺菌効果が高まります。

※もみ洗いに用いた水は、塩素濃度1000ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムを加えて10分以上おいたのち捨ててください。

4.布団やシーツの処理方法

最後に寝具に汚物が付着した場合についてです。
シーツの消毒は衣類と同様に行ってください。
ここでは布団が汚染された場合を詳しく書きます。

布団の消毒方法
1.手袋とマスク、エプロンを身に着ける。
2.汚物の付いた箇所を下洗いします。
3.よく乾燥させたのち、スチームアイロンまたは布団乾燥機で85℃、1分以上加熱する。
布団を乾燥させるときにはウイルスが飛散する可能性があるので、十分な換気を行うか屋外で行うようにする。
4.下洗いした箇所を塩素濃度200ppm次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行う。

次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方

調合
塩素濃度200ppmまたは1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムは汚物処理用に多く市販されています。これらの中には、漂白性や金属腐食性を抑えたものもあり、消毒液が大量に必要な場合は便利なものです。
しかし、1シーズン1回使うかどうかの一般家庭ではわざわざ買う必要がない、と筆者は思います。
そこで、ここでは市販の家庭用塩素系漂白剤から次亜塩素酸ナトリウム溶液の作りをご紹介したいと思います。
1.家庭用塩素系漂白剤(ブリーチ、ハイターなど)、ペットボトルのふたを用意する。
※ワイドハイターなど酸素系漂白剤ではノロウイルスを失活できないので、注意してください。
※この消毒液は時間経過とともに効果が薄れていきます。このため、消毒液が余った場合は捨て、必要になれば毎回作ってください。
市販されている物は、長期間保存できるものがあるので、その点では便利です。
2.家庭用塩素系漂白剤の濃度が一般的に約5%,ペットボトルのふたの容積が約5mlであることに注意して水道水で薄めます。
次の対応表を参考に薄めてください。

次亜塩素酸ナトリウム濃度 ふた1杯に対して ふた2杯に対して
1000ppm 水道水250ml 水道水500ml
200ppm 水道水1250ml 水道水2500ml
次亜塩素酸ナトリウム濃度 水道水1ℓに対して
1000ppm ふた4杯
200ppm ふた0.8杯

まとめ

まとめ
この記事では、ノロウイルスの予防法を感染経路別に示してきました。
感染力が強いノロウイルスは、いくら対策しても完全とは言えません。
ノロウイルスに苦しまないよう、できる限りの予防法を実践しましょう。

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